米国の第46代大統領としてジョー・バイデン氏が20日就任する。世界で唯一の超大国、世界に範を示してきた民主主義国家・米国の大統領である。就任式は支持者だけではない。反反対派も含めて共に新しい大統領の船出を祝う華麗なる式典でもある。いつもなら期待と希望と歓喜にあふれる。だが今年はそうはいかない。就任式が執り行われる議事堂を取り囲むように2万5000人を超える軍隊が配置されている。一説には3万人を超えたとの説もある。就任式には一体どれくらいの国民が集まるのだろう。コロナ対策もある。まばらな聴衆とこれを見守る圧倒的多数の軍隊の中で、バイデン新大統領は対立の解消と未来に向けた希望を語るのだろうか。世界の主流メディアは「根拠がない」と一蹴するが、SNSではバイデン新大統領の醜聞が拡散されている。新大統領を見守る国民の脳裏にはみだらな映像が刻印されているはずだ。

トランプ派が主張する「盗まれた選挙」も「集計機の不正操作」も、「オバマ・ゲート」も事実かどうかわからない。反トランプ派が主張する「トランプ支持者が議事堂に乱入した」という説も、どこまでが真実か我々部外者には判断のしよいうがない。ミリシアやプラウドボーイズといった極右に加え、極左のアンティファもこの暴動に加わっていたという説もある。現在当局の捜査が進んでいるがFBIやCIAといった国家機関がグルになっているという説も、トランプ派の間ではまことしやかにささやかれている。4年前のロシア疑惑が今回は中国疑惑に変わっただけで、米大統領選挙には常に外国の介入説が付きまとう。ロシア疑惑を裏返したのがオバマ・ゲートだろう。真実なら驚天動地、ありそうでもあり、なさそうでもある。トランプ派は量子コンピューターまで持ち出してトランプ氏の勝利を確信する。こうなると陰謀論に近いような気もする。

我々はメディアを通してしか真実がわからない。米国をはじめ世界の主流メディアは「根拠のない言説」とトランプ派の主張を黙殺する。だが、根拠のない言説と断定する根拠は全く示さない。それ以上にトランプ大統領のアカウントを永久停止にしたツイッターは、明らかに言論弾圧を行っている。視点を変えれば見方も変わる。トランプ派の主張と反トランプ派の主張は、一つの事実の解釈が180度異なっている。こうなるともう折り合うことはないだろう。テキサス州は独立するとの噂がまことしやかに囁かれ、全米ライフル教会は本部をニューヨークからテキサスに移すと宣言した。レッドステートとブルーステート、分断される米国。何も報じないことでバイデン陣営を無言のうちに支持する世界中の主流メディア。分断されうる国の片方の主張しか報じない主流派日本メディアの貧困さ。バイデンの4年間に“真実探し”は期待できるのか、答えは・・・。