【ワシントン時事】バイデン次期米大統領の政権移行チームは16日、バイデン氏が20日の就任初日からさまざまな大統領権限を行使し、新型コロナウイルス対策や、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰などを打ち出すと発表した。発足直後からスタートダッシュをかけることで、山積する課題に迅速に取り組む姿勢を示し、トランプ政権との違いを印象付ける狙いがあるとみられる。
クレイン次期大統領首席補佐官は内部向け文書で、米国が新型コロナと経済、気候変動、人種間不平等の「四つの危機」に直面していると指摘。「バイデン氏は就任から10日間でこれらの危機に断固たる行動を取り、国際社会における米国の地位を回復する」と宣言した。
具体的には、就任直後に大統領令などを出し、パリ協定への復帰を宣言するほか、トランプ政権が実施したイスラム諸国からの入国制限を撤回する。新型コロナ対策では「100日間マスクチャレンジ」と題した取り組みで、連邦施設内や州境を越える際のマスク着用も義務化する。
さらに就任10日以内に大統領権限を使い、「コロナ禍を食い止め、安全に学校やビジネスを再開するため」の対策を示す方針。司法制度改革にも着手する一方、トランプ政権下で離散を余儀なくされた移民家族が再会するための対策を関係省庁に指示する。
クレイン氏は「これらは手始めにすぎず、新型コロナとの闘いや経済再建には長い道のりが待っている」と指摘しつつ、「2月1日には米国は正しい方向に進んでいるだろう」と状況の好転に自信を示した。