米経済は昨年末の成長鈍化から一転して上向いている兆候が複数見られる。このためバイデン大統領が提示した1兆9000億ドル(約200兆円)規模の経済対策案の必要性にも疑問の声が一部から上がり、議会通過を目指す取り組みが複雑になっている。
米新規失業保険申請件数は2週連続で減少した。5日に発表される1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が増加に転じる見込みだ。米供給管理協会(ISM)が発表した1月の非製造業総合景況指数は予想外に活動拡大が加速し、ほぼ2年ぶりの高水準となった。
さらに、週間の消費者信頼感指数やレストラン予約件数といった比較的更新期間の短い一部指標も、新型コロナウイルスの感染拡大鈍化や事業活動の制限緩和に伴い景気の改善を示している。
オックスフォード・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は、「表面下では成長の動きが広がりつつあるのが分かる」と指摘した。
このように経済が差し当たり改善の兆しを見せる中、既に実施・成立済みの計3兆ドル余りの支援策に加え、バイデン大統領が提案しているような追加の大規模経済対策が必要かどうか疑問視する一部議員からは、これに反対する声が上がっている。
バイデン政権当局者はこうした動きに対し、新型コロナ禍を受けた雇用喪失などを理由に、大胆な行動の必要性を強調。ホワイトハウスのディーズ国家経済会議(NEC)委員長は1月31日、NBCの番組「ミート・ザ・プレス」で、「断片的な手法では成功は期待できない」と語った。
原題:U.S. Economy Is Improving, Complicating Biden Stimulus Plan (1)(抜粋)