• ポンドに対するユーロのショートが有効-キャクストンFX
  • ワクチン接種が進む英国のポンドは上昇、ドルも弱含み予想に逆らう

世界各地で新型コロナウイルスワクチンの接種が始まったが、接種計画は必ずしも順調には進んでいない。これが、1日の取引額が6兆6000億ドル(約695兆円)に上る為替市場で新たなトレンドを生んでいる。

  ワクチン接種と感染のデータが公表されている主要15カ国・地域についてブルームバーグが調査したところ、ワクチン接種が最も先行する5カ国のうち4カ国の通貨が1月にドルに対して上昇していた。

  英国は感染率が高止まりしているものの、接種の進展でポンドは上昇。一方、欧州連合(EU)のワクチン供給を巡る混乱はユーロを圧迫している。これらの動きがドル自体の見通しを見えづらくしているが、米国がコロナ禍に苦しんでいるにもかかわらず、ドルは弱含むとの予想に逆らっている。

  新型コロナウイルスで為替トレーディングの状況は一変したが、明らかになりつつあることが一つある。中央銀行の金利見通しや経済成長の差がトレーディング戦略の大きな要因を占めた時代は過ぎ去ったということだ。代わって、アバディーン・スタンダード・インベストメンツやブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのファンドマネジャーは専門外の集団免疫について調べ上げ、ワクチン接種と為替の相関が高まりつつあることを解析しようとしている。

  ロンドンを拠点とする決済会社キャクストンFXのシニアマーケットアナリスト、マイケル・ブラウン氏は「ワクチン接種格差を使ったトレーディングが始まりつつある」と指摘。このトレーディングではポンドに対するユーロのショートが有効だろうとの見方を示した。

原題:Currencies Get a Lift in Nations Delivering Covid Shots Faster(抜粋)