【北京時事】中国の国会に当たる第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が5日、北京で開幕する。中期的な経済の目標を盛り込んだ第14次5カ年計画(2021~25年)や35年までの長期目標を正式に採択。香港で共産党に反発する民主派を排除する選挙制度改革も討議される見通しだ。
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中国政府は2月中旬以降、新型コロナウイルスの新たな国内感染例は確認されていないとしており、全人代を通じて経済や社会の正常化が演出されることになる。
5カ年計画では内需拡大を重視して経済運営を進め、持続的な成長を図る。計画期間の成長目標は年平均5%前後になるという見方がある。また、35年までの長期目標には1人当たりの国内総生産(GDP)を中等先進国の水準に引き上げる方針が定められる。
例年の全人代ではその年の経済成長目標に最も注目が集まる。昨年の全人代はコロナ感染の影響で経済の不確実性が高まり、具体的な数値目標の公表が見送られた。今年の成長率は8%前後とみられているが、昨年に続き目標の公表を見送るという観測も出ている。
香港問題については、国務院香港・マカオ事務弁公室の夏宝竜主任が2月下旬、「愛国者による香港統治」のための選挙制度改革を表明。全人代で、立法会(議会)や行政長官選挙で共産党に従わない候補者の出馬を厳しく制限する方針などが示されるもようだ。
一方、国防予算も全人代の焦点の一つ。昨年の伸び率は前年比6.6%で約30年間で最低水準だったが、コロナ禍により他の予算項目で抑制が目立つ中、高い伸びを確保。習近平指導部が米国と対立し台湾への威嚇を続ける中、7%以上の伸びが予想されている。
全人代は年に1回、3月上旬に10日程度開かれるのが通例。昨年はコロナ感染の拡大により、異例の5月下旬開催となった。今年は例年通りの時期だが、感染防止の観点から7日間だった昨年に続き短めとなりそうだ。国政助言機関・全国政治協商会議(政協)は3月4~10日に開催される。