[パリ 9日 ロイター] – 経済協力開発機構(OECD)は9日、世界の経済成長率予測を今年5.6%、来年4.0%に上方修正した。新型コロナウイルスワクチン接種の進展や、米国の大規模な追加経済対策を理由に挙げた。中間経済見通しで明らかにした。

昨年12月初旬時点の予測は、それぞれ4.2%、3.7%だった。ただ、ワクチン接種がどこまで迅速に進むか、封鎖措置がいつ解除されるのか、変異株の感染拡大を抑制できるのかといった大きなリスク要因も残っている。

OECDは「最優先課題は、必要な資源を総動員して、できる限り早急にワクチンを生産し、完全に配布することだ」と指摘した。

チーフエコノミストのローレンス・ブーン氏は、「ワクチン接種を速やかに進めないと、これまでの財政刺激策が無駄になりかねない」と警告。欧州でのワクチン展開の遅れを例に挙げ、市民生活が通常の状態に戻らない限り、せっかく政府が資金援助をしても消費者は貯蓄に回すだけだと述べた。

世界の域内総生産(GDP)は、今年年央までに新型コロナ流行前の水準に回復するとみられるが、国によって大きな差が出るとしている。

米国の経済成長率の予測は今年6.5%、来年4.0%。昨年12月時点の予測はそれぞれ3.2%、3.5%だった。

OECDは、米国の追加経済対策について、初年度のGDPが平均3-4%前後押し上げられると予測。年内に最大300万人の雇用が創出される可能性があり、インフレ率も最初の2年間で年平均0.75%ポイント押し上げられる可能性があるとしている。

米国の追加景気対策の効果は、主要貿易相手国の経済にも波及する見通しで、カナダとメキシコの経済成長率は0.5─1%ポイント、ユーロ圏と中国は0.25─0.5%押し上げられるとしている。

日本の成長率見通しは、今年が2.7%、来年が1.8%とし、従来予想からそれぞれ0.4%ポイント、0.3%ポイント引き上げた。