[フランクフルト 11日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は11日の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れを次の四半期に拡大すると決定した。ユーロ圏の国債利回りの上昇に歯止めをかけ、景気回復に向け確固たる土台を整える。

ユーロ圏では米金利に追随して国債利回りが上昇し、景気回復が頓挫するとの懸念が出ていた。こうした中、ECBは正当化できない借り入れコストの上昇を防ぐために、1兆8500億ユーロ規模のPEPPをこれまでより寛大に利用していくと表明。声明で「次の四半期にかけて、PEPPの下での買い入れを今年の初めの数カ月と比べてかなり速いペースで実施すると理事会は予測している」とした。

ただ事態の切迫性について理事会内のハト派とタカ派との間で見解の相違が存在する中、ECBは買い入れの柔軟な実施を表明すると同時に、市場の状況次第では、PEPP買い入れ枠を必ずしも完全に利用するわけではないと改めて確認した。

ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で「全般的な経済状況は年内に改善すると予想されるが、短期的な経済見通しには不確実性が残っており、特にパンデミックの動向やワクチン接種の速度が関連してくる」と述べた。

ユーロ圏経済については、第1・四半期もマイナス成長に陥るとの見方を示した上で、回復の兆候は一様ではないと強調。長期インフレ見通しは引き続きECBの目標を下回っているとの認識を示した。

ECBは中銀預金金利をマイナス0.50%に据え置くことを決定。PEPPの規模も1兆8500億ユーロに据え置いた。

ラガルド総裁によると、今回の決定は「完全な全会一致」だった。

ECBは新たなスタッフ予想で、2021年の経済成長率予想を4.0%とし、前回予想の3.9%から若干上方修正。同年のインフレ率については1.5%とし、1.0%から上方修正した。