[フランクフルト 12日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)当局者らが今週の会議で、このほど米国で成立した新型コロナウイルス追加経済対策法がユーロ圏にもたらす影響を巡って激論を交わしていたことが、複数の関係者の話で分かった。

前日の理事会では長期金利の上昇に対応するため、国債の買い入れペースを大幅に速める方針を決定し、景気回復の支援に向け断固たる姿勢を強調した。

会議では、米国で実施される現金給付が米国内の期待インフレや債券利回りを押し上げ、ひいてはユーロ圏の金利上昇につながると一部当局者らが指摘。欧州連合(EU)の復興支援策が小規模で進展も見られない中、景気回復の面で欧州が米国にさらに遅れを取りかねないとして、ECBは対応を強化すべきと訴えた。

一方、保守派らは、米国で家計の可処分所得が増加すればユーロ圏の製品に対する支出も拡大し、域内経済に利益をもたらすことから、ECBが大盤振る舞いする必要性も低くなると主張した。

ある関係筋は「バイデン米大統領(の景気対策)はすでに成立して、来週にも国民に小切手が送られるというのに、欧州では1年もかけて議論しながら、まだ何も支払われておらず、おそらく今年の10月までは今の状態が続くだろう」と話した。

ECBの広報官はコメントを控えた。