[東京 16日 ロイター] – 梶山弘志経済産業相は16日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所で核物質防護設備の機能の一部が喪失していたことが明らかになったことを受けて「大変遺憾であり非常に残念」と述べるとともに、このままでは再稼働はできない、との見方を示した。省内で記者団に対して述べた。
梶山経産相は「核物質防護の確保は原子力事業者の基本」と指摘したうえで、原子力規制委員会から最も厳しい評価がなされたことは「深刻に受け止めている」と述べた。
再稼働を目指す考えに変わりはないものの「安全確保に関する組織的な管理機能の劣化を厳しく問われている。当然ながら、このままでは再稼働できる段階にはない」と強い口調で指摘した。
原子力規制委員会は16日、柏崎刈羽原子力発電所において、核物質防護設備の機能の一部が喪失していたことから、2020年3月以降、複数箇所で不正な侵入を検知できない可能性があったと発表。「核物質防護上重大な事態をもたらしたもの、またはそうした事態になり得たもの」とし、重要度は最も深刻な「赤」とする暫定評価を示した。東電から異論がなければ、評価が確定する。
更田豊志委員長は会見で、追加検査について「極めて速く進んだとしても1年以上はかかる」と述べた。
梶山経産相は東電に対し「なぜこのような事案が生じたのか、社としてどのような問題があるのか、いったん立ち止まって徹底的に原因を究明し、根本的な対策を講じて規制委員会の検査にしっかり対応していくことが重要。強い危機感と緊張感を持って対応にあたって欲しい」とし、東電の取り組みに指導・監督を行っていく考えを示した。