[ワシントン 16日 ロイター] – 米商務省が16日に発表した2月の小売売上高(季節調整済み)は前月比3.0%減と、市場予想の0.5%減よりも落ち込んだ。全米を襲った寒波が打撃となったが、政府が低中所得世帯を中心に追加の新型コロナウイルス支援策を提供することから、今後回復が見込まれる。

1月の小売売上高は当初発表の5.3%増から7.6%増へ上方改定された。

2月の寒波は異例だった。昨年12月末に承認された9000億ドル近くの追加財政刺激策の一環で600ドルが給付されたことによる景気押し上げ効果が薄れたことや税金還付が遅れたことも2月の数字に影響した。

2月の自動車・ガソリン・建設資材・外食を除くコア小売売上高は3.5%減だった。1月は当初発表の6.0%増から8.7%増へ改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の個人消費の構成要素と密接に連動する。2月は落ち込んだものの、1月の伸びを相殺するほどではなかった。2月の落ち込みは一時的とみられる。

部門別では、自動車が4.2%減と、前月の5.0%増から反転。衣料品は2.8%減少した。

外食は2.5%減。新型コロナ感染拡大前の昨年2月との比較では17%減。電気製品は1.9%減、家具は3.8%減。スポーツ用品、楽器、書籍なども大きく減少した。

食品・飲料は横ばい。建材は3.0%減。オンライン販売は5.4%減と、前月の16.8%増から反転した。

バイデン米大統領は先週、1兆9000億ドル規模の新型コロナ支援策に署名。多くの家庭に追加で1400ドルが給付され、失業保険の300ドルの上乗せ対策が延長される。ワクチン接種が加速し広範な経済活動が再開することも小売売上高が持ち直す要因となる。貯蓄も1兆8000億ドルに上っている。

ウエルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「多くの世帯が、1月の倍以上の現金給付を受けることから、向こう数カ月間で個人消費が再び伸びるとみている」と話した。「その後は、公衆衛生状態が改善し規制が緩まる中で過剰な貯蓄が消費に回るだろう」とした。

オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の主任米国エコノミスト、リディア・ブソル氏は「これから温暖な季節を迎え、大規模な景気刺激策が実施されるに従い、冬の間の厳しい状況は解消していく。今年は公衆衛生状況の改善と大規模な財政刺激策で消費支出が押し上げられる歴史的な年になる」と述べた。

ゴールドマン・サックスはこのほど、バイデン政権の大規模な景気刺激策が押し上げ要因になるとし、第1・四半期の成長率見通しを年率6.0%と、従来の同5.5%から上方修正。21年の成長率は7.0%と、1984年以来の高水準になるとの見通しを示した。