中国が金融政策の引き締めを通じて資産バブルを抑制しようとすれば、「巨額の経済的損失」をもたらすリスクがある。中国人民銀行(中央銀行)の元当局者がこうした見解を示した。
人民銀で調査統計局長を務めた盛松成氏は、金融資産への投機を減らすためには引き締め策よりも市場の監視を強化する方が良いだろうと述べた。
投資家は今年に入り、人民銀による流動性引き締めの兆候を注視している。1月には、人民銀当局者が不動産・株式市場のバブル抑制に向け金融引き締めを求めたことで、中国・香港株の下げに拍車が掛かった。中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の郭樹清主席は2日、世界的なバブルリスクに懸念を示し、投資家から将来の金利引き上げのシグナルと受け止められた。郭氏は人民銀の共産党委員会書記も兼務する。
中国、海外金融市場や国内不動産バブルを「懸念」-銀保監会主席
現在、上海の中欧国際工商学院の教授を務める盛氏のコメントはそうした見解とは極めて対照的だ。同氏はブルームバーグニュースからの質問に書面で回答し、「金融引き締めでは資産バブルを効果的に防ぐことはできず、バブルを崩壊させ、巨額の経済的損失をもたらすだろう」と指摘した。
さらに、中国の投資と消費の伸び率は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から完全に回復しておらず、金融政策を短期的に引き締めるべきではないと主張した。
原題:Ex-PBOC Official Warns of ‘Huge’ Losses With Monetary Tightening(抜粋)