[ロンドン/東京/ワシントン 19日 ロイター] – 日米欧の主要7カ国(G7)は19日、オンライン形式で財務相会合を開き、低所得国の新型コロナウイルス感染拡大への対応を支援するため、国際通貨基金(IMF)の準備資産である特別引き出し権(SDR)の新規配分で合意した。
新規配分は世界が金融危機に見舞われた2009年以来初めて。G7議長国を務める英国は、G7財務相がSDRの「大幅な」増加で合意したと表明。スナク英財務相は「今回のG7による合意で世界の低所得国への協調的な支援に道が開けた。これにより、いかなる国も新型コロナ感染拡大からの景気回復で後に取り残されることはない」と述べた。
SDR新規配分については、4月に開かれるIMF総会までに中国を含むG7以外の国の合意を取り付ける必要がある。
G7財務相はこのほか、SDRの配分と利用を巡る透明性の向上についてIMFとともに取り組んでいくことで一致。先進国が貧困国とSDRを共有する方法についても検証していくとした。
麻生太郎財務相は会合後に記者団に対し、SDR新規配分について「透明性の向上と説明責任の強化のための具体策を講じることが重要という方向性で一致した。今後IMFで具体化されていくことになる」と述べた。
G7財務相は、20カ国・地域(G20)による債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)の6カ月延長を支持することでも合意。麻生氏は「国別の債務措置の実施にあたって中国を含む、すべての関係者の参加を確保することが必要」と述べたと明らかにした。
IMFのゲオルギエワ専務理事は、今回のG7財務相会合が「生産的」だったとし、合意を歓迎すると表明した。
IMFのSDRは09年に米ドル換算で2930億ドルに拡大。IMFは昨年、5000億ドルに拡大することを提案したが、当時のトランプ米大統領が反対した。ただ、バイデン政権下で財務長官に就任したイエレン氏は先月、透明性の向上が必要とした上で、拡大に賛同を表明。米関係筋によると、約6500億ドルまでの拡大が討議されている。
格付け会社フィッチは5000億ドルまで拡大された場合、世界的な年間総生産の0.5%に相当すると試算。「喫緊の外的な財政圧力に対応する上で支援になるが、債務などの広範な問題に対処するには不十分」との見方を示した。