[香港 25日 ロイター] – 香港政府は市民がワーキングホリデービザ(査証)を申請する際に提出する「英国海外市民(BNO)旅券」について、受け入れを中止するよう一部の外国領事館に要請した。外交筋が明らかにした。

香港当局は領事館に書簡を送り、中国への返還前に生まれた市民が保有するBNOを1月31日付で有効な旅券(パスポート)として認めない方針を伝えた。代わりに香港の旅券を受け付けるよう求めている。

一部の外交官は外交上、無礼な行為と指摘している。西側の外交筋は「他国にどの旅券を認めるべきかを指示する権利は香港政府にはない」と述べ「大半の国は無視するだろう」との見方を示した。

別の外交筋は「好戦的な」態度と評し、香港政府は一般的に国際金融センターとしての立場をわきまえていたが、そうした伝統的な振る舞いとは異なると話した。

香港政府は今のところコメントの要請に応じていない。

香港政府のウェブサイトによると、日本、カナダ、ドイツ、オーストラリアなど14カ国とワーキングホリデー協定を結んでいる。

日本、韓国、イタリア、ニュージーランドはBNOを有効とみなしていることを確認した。韓国外務省は書簡を受け取っていないとしている。ハンガリー当局は書簡を受け取り、ワーキングホリデー制度の見直しを開始したと明らかにした。

このほか米国、フィンランド、ノルウェーも香港との間でワーキングホリデー協定を結びBNOを受け付けている。米国が書簡を受け取ったかは不明だが、国務省の報道官はビザ発給と米国への渡航においてBNOは依然として有効と説明した。

BNOを巡っては、香港国家安全維持法の施行を受けて英国が1月末からBNO保有者を対象に英国の市民権を取得しやすくする特別ビザの受付を開始したことで外交問題に発展した。