[ワシントン 25日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は25日、経済が新型コロナウイルス禍による落ち込みから完全に回復するまで利上げは行わず、最大雇用と物価安定目標の達成で「さらに著しい進展」が見られないうちは量的緩和策も縮小しないと強調した。
米公共ラジオ局(NPR)とのインタビューで「さらに長期間(in the longer run)、われわれは利上げを可能にするためのテストを設定した」と表明。「経済がほぼ完全に回復した後、透明性の高い方法で時間をかけて非常に緩やかに、緊急時に提供した支援策を引き揚げていく」と語った。
「さらに長期間」という文言には2023年末までの3年間を超えるニュアンスが含まれていると考えられる。FRB当局者の政策金利見通し分布(ドット・チャート)によると、18人中11人は23年末までの利上げはないと見込んでいる。
FRBのクラリダ副議長もこの日、国際金融協会(IIF)の会合で、経済活動や雇用が景気サイクルのピークだった昨年2月の水準に戻るにはまだ時間がかかるとし、景気回復が「完全かつ真に達成されるまで、あらゆる手段を駆使して経済を支えていくことをFRBは約束する」と明言した。
最近の債券利回りの上昇や資産価格の値上がりについては、楽観的な経済見通しを反映したもので、自身の基本シナリオとも合致しており、違和感はないという考えを示した。
こうした中、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁はロイターとのインタビューで、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で積み上がった約2兆ドルの家計貯蓄を手掛かりに、米成長が数年間トレンドを上回る可能性があり、インフレ率も当面上昇すると予想した。
同時に、米経済が明確な回復を遂げるまで、利上げや債券購入の縮小には動かないというFRBの確約は「非常に明確かつ結果に基づいている」と確認。政策変更の時期については「特定の日時を考えすぎるのではなく、結果を考慮したい」と述べた。