[ニューヨーク 29日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが主要通貨に対して上昇し、4カ月ぶり高値を付けた。米ヘッジファンドの損失問題を巡って懸念が広がる中、ドルに対する質への逃避が見られた。

ドルは通貨バスケットに対し一時92.964と、昨年11月以来の高値を付けた。その後は0.1%高の92.904。

関係筋によると、米ヘッジファンドのアーケゴス・キャピタル・マネジメントがマージンコールに対してデフォルトを起こし、クレディ・スイスと野村ホールディングスは多額の損失に直面する恐れがあると警告した。

ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は、1998年の米ヘッジファンド大手LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)の破綻の小規模な再来が起こると懸念される中、「安全資産とみられるドルに買いが入った」と指摘した。

こうした中、ユーロ/ドルは0.2%安の1.1769ドル。一時1.1760ドルと昨年11月以来の水準に値下がりした。月間の下げは2.5%で19年7月以降で最大。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、フランスやドイツで制限措置が強化されるとみられ、短期的な景気見通しが後退した。米欧の長期金利差が200ベーシスポイント(bp)に拡大していることも、ユーロ安・ドル高を後押ししているという。

ドル/円は0.1%高の109.81円。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組によると、円の売り越しが1年ぶりの高水準に拡大。またINGのデータでも、円の売り越しが全体の33%に拡大した。債券利回りの低下や世界経済の回復への期待が背景という。円は対ドルで年初以降6%安。