社会進出をめぐる世界各地の男女格差に関する調査で、日本は依然として政治参加や経済の分野で大きな格差があるとして、156か国中120位になりました。

世界の政治や経済界のリーダーが集まる「ダボス会議」を主催する「世界経済フォーラム」は、例年、政治参加、経済、教育、それに医療へのアクセスの4つの分野で、各国の男女格差を調査しています。

31日、ことしの報告書が発表され、対象となった156か国のうち男女格差が最も少ないのは12回連続でアイスランド、2位がフィンランド、3位がノルウェーなど、例年どおり北欧の国々が上位を占めました。

一方、日本は教育と医療へのアクセスの分野は評価が高かったものの、政治参加と経済の分野で評価が低く、120位になりました。

女性が衆議院議員に占める割合や閣僚に占める割合が依然として低いほか、管理職など企業で意思決定を行う女性の割合が低いと指摘されています。

報告書は、また、新型コロナウイルスの影響について、世界全体で女性が男性よりも高い確率で仕事を失うなど男女格差の解消を妨げていると指摘しています。

世界経済フォーラムは、世界全体で男女間の格差をすべて解消するにはまだ135年余りかかるとして、各国に対して取り組みを強化するよう求めています。

「政治参加」と「経済」 前回より順位下げる

「世界経済フォーラム」が発表した4つの分野のうち、「政治参加」と「経済」の分野が日本の全体の順位を大きく下げる要因となっています。

このうち「政治参加」は、10年前の2011年には101位でしたが、それ以降、この順位を上回ることは無く、前回は144位、そして今回は過去最低の147位となっています。

これについて報告書は「日本の女性の政治参加のレベルは依然として低いままだ。女性が衆議院議員に占める割合は9.9%で、閣僚に占める割合は10%にとどまっている」としています。

156か国の平均は、議会下院や一院制の議会で女性議員が占める割合が26.1%、女性閣僚の割合が22.6%となっています。

また、「経済」は2011年の100位以降、順位が下がる傾向が続き、前回は115位、今回は117位でした。

報告書は「日本は管理職など企業で意思決定を行う女性の割合が低い。また、女性の72%が働いているにもかかわらず、パートタイムで働く女性の割合は、女性が50.8%に対して男性が22.2%と2倍以上だ。さらに、日本の女性の平均収入は男性よりも43.7%低い」と指摘しています。

新型コロナが男女格差の解消妨げると指摘

ことしの報告書で、世界経済フォーラムは新型コロナウイルスが男女格差の解消を妨げていると指摘しています。

ILO=国際労働機関などの調査では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、仕事を失った女性の割合は5%と、男性の3.9%に比べて高かったことがわかりました。

女性の管理職への採用も著しく減っているということです。

また、学校や保育所などが閉鎖されたことにより、通常の仕事に加えて家事や育児、介護などの無償労働の負担が女性に偏り、特に仕事をしながら子育てしている女性に大きなストレスがかかっていたという調査結果もあります。

さらに、感染拡大の影響で自動化やデジタル化が進んでいることが、男女の格差を助長するとの懸念もあります。

エンジニアリングやAIなどの分野では採用が増える傾向にあるものの、歴史的に女性の比率が低く、男女の職業分離が進んでいて、女性が新たにこうした分野で就職することは男性よりも難しい状況だと指摘しています。

また、介護や教育の分野は女性の比率が高く、今後の成長が期待できるものの、AIなどの分野に比べて低賃金であることが多いとしています。

そのうえで、世界経済フォーラムは、保育や介護など福祉事業の分野へのさらなる投資や、育児や介護で男女が均等に休みを取得できるようにすること、女性のキャリア再教育や男女偏りのない雇用と昇進を行うことなどを各国に求めています。