【ワシントン時事】米南部ジョージア州で成立した選挙関連法の改正に、黒人など人種的少数派の投票を阻害するものだと反発する声が広がっている。同州人口の約3分の1を占める黒人は民主党の支持基盤と見なされており、サキ大統領報道官も1日の記者会見で、改正について「人々が投票しづらくするもので、賛成できない」と述べた。
3月25日に成立した改正州法は、期日前投票時の身元確認を厳格化するとともに、投票箱の設置数を制限。投票所で並ぶ有権者に、ボランティア団体などが水や食べ物を配る行為も禁止した。
ケンプ州知事(共和党)は「選挙の公平さと安全性を高めるための措置」と説明する。だが、身元確認の厳格化は、運転免許証など身分証明書類を持つ人が比較的少ない黒人への影響が大きい。州都アトランタなど黒人有権者の多い地区では、投票所に長い列ができることも多く、水の配布禁止は間接的に黒人有権者を標的にした措置と受け止められている。
公民権団体などは、州法改正の無効を訴える訴訟を提起した。また、ジョージア州に本社を置く清涼飲料大手コカ・コーラやデルタ航空を対象に、改正に抗議しなければボイコットするよう呼び掛ける運動も拡大。両社を含む企業や経営者が、相次いで改正への懸念を示した。
米メディアによると、大リーグ選手会のクラーク専務理事は先週、州法改正への対応として、7月にアトランタで予定するオールスターゲームの開催地変更について討議する考えを表明。バイデン大統領は3月31日、スポーツ専門局ESPNのインタビューで、そうした動きを「素晴らしく責任感がある」と強く支持した。
ジョージア州はもともと共和党地盤だが、昨秋の大統領選では大接戦の末、バイデン氏がトランプ前大統領を下した。1月に同州で行われた上院2議席の決選投票も民主党が勝ち、上院での民主党優位を奪還している。
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