[ソウル 6日 ロイター] – 北朝鮮体育省は6日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から選手を守るため、今年の東京五輪に参加しないと表明した。 

同省はウェブサイト「朝鮮体育」の中で、不参加決定は3月25日に開かれた北朝鮮オリンピック委員会の会合で下されたと説明。会合には金日国(キムイルグク)体育相も出席した。会合では向こう5年の国際競技大会におけるメダル獲得戦略なども話し合われたという。

北朝鮮は国内にコロナ感染者はいないとしている。

北朝鮮が夏季五輪に参加しないのは、冷戦下で開催された1988年ソウル五輪をボイコットして以来となる。

韓国の文在寅大統領は東京五輪で南北合同チームを出場させ、関係改善への気運を高めたいと考えていた。

韓国と北朝鮮はまた、2018年の南北首脳会談で2032年夏のオリンピック共同開催を目指すことで合意したが、今回の北朝鮮の不参加で同計画も停滞する可能性が出てきた。

北朝鮮は先月、ミサイル発射試験を再開しており、朝鮮半島の緊張が高まった。ただ、南北とも発射後に対話継続を望むと表明している。

韓国統一省は、東京五輪が南北間の平和と和解を促進する契機となることを願っていたが、実現できないのは「残念だ」とコメントした。

東京五輪・パラリンピック組織委員会は北朝鮮が不参加との報道を承知しているとした上で、五輪の成功に向けて他の国々と協力すると表明。各国・地域の選手にとって最高の舞台を整えるため、準備を進めるとした。

国際オリンピック委員会(IOC)は、北朝鮮から参加しないという正式な通告を受け取っていないと説明。新型コロナの状況について話し合うため、北朝鮮側に電話会議を複数回呼び掛けたが、応じなかったと明かした。

米国務省のプライス報道官は、北朝鮮の決定について「新型コロナへの厳しい対応と一致しているようだ」と述べた。