アメリカのバイデン政権は中国の新疆ウイグル自治区でウイグル族などに対するいわゆる「ジェノサイド」が続いているとして中国政府を強く非難していて、これを否定する中国との対立が深まっています。

こうした中、アメリカ国務省のプライス報道官は6日の記者会見で、北京で来年2月に予定されている冬のオリンピックへの対応について聞かれ「世界中の同盟国や友好国との緊密な協議に基づいて決める。同盟国や友好国を結集させることで中国政府により大きな影響を与えることができる」と述べました。

そのうえで「同盟国と協議してボイコットを検討するのか」と問われると「それはまさに協議したいことだ」と述べ、同盟国とともにオリンピックをボイコットする選択肢も排除しないという考えを示しました。

一方で、結論を出す時期については「まだ先の話であり、時期を決めたくはない」と述べました。

バイデン政権は新疆ウイグル自治区での人権侵害に関わったとして、先月、EU=ヨーロッパ連合などと足並みをそろえる形で自治区の当局者らに制裁を科すなど、同盟国と連携して中国の人権問題を追及する方針を鮮明にしています。アメリカ国務省の報道官が来年の北京オリンピックを、同盟国とともにボイコットする選択肢も排除しないという考えを示したことについて、JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は7日午前、NHKの取材に対し北京大会への参加について「揺らぎはない。しっかり準備をしていきたい」と述べました。

この中で山下会長は、アメリカ側から何も聞いていないとしたうえで、「ニュースを見たが、IOC委員としてもJOCの会長としても静観をしたい」と述べました。

そして、北京オリンピックへの参加については「揺らぎは全くないし、その姿勢は最後まで変わらないと思う。しっかり準備をしていきたい」と述べ、参加の方針に変わりはない姿勢を強調しました。

一方、中国の人権問題については「正確な情報を把握できない中でコメントは失礼させていただきたい。この問題とは関係なく、さまざまな差別を許さないというオリンピズムの精神は大事にしていきたい」と述べました。