[6日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)は6日発表した世界経済見通しで、今年の世界の成長率予想を6%に再度上方修正した。新型コロナウイルスのパンデミックに米国などが過去に例のない大規模な対策を打ち出したことが寄与し、1976年以降で最も高い成長を見込む。

今年1月時点の前回予想は5.5%だった。予想の引き上げは主に米国の見通しが急回復したためで、米国の今年の成長率は6.4%と1980年代初め以降で最も高い伸びを予想した。1月時点の5.1%から1.3%ポイントの引き上げ、昨年10月時点の予想の2倍となる。

昨年はコロナ禍が経済に大打撃を与えた。IMFは2020年の成長率をマイナス3.3%とし、1月に示した予想のマイナス3.5%から若干上方修正した。

今回の見通しでは、1兆9000億ドル規模の追加経済対策が成立した米国と、それ以外の国とで見通しの違いが鮮明になった。

先進国の今年の成長率予想は4.3%から5.1%に引き上げられた。これに貢献したのは主に米国で、ドイツ、フランス、日本などの予想は1月時点からわずかな改善にとどまる。

新興国の今年の成長率予想は6.7%。1月時点から上方修正されたが、引き上げ幅は0.4%ポイントで先進国を下回った。

IMFのギタ・ゴピナート主任エコノミストは「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を巡る先行きにはかなりの不透明性が存在するが、公衆衛生に伴う経済的危機から脱する道のりは明確となりつつある」と述べた。

同時に、新型コロナの終息には程遠いとし、「ワクチン接種の進捗や経済政策の規模、観光業依存といった構造的要因の影響で、地域や所得規模によって回復にばらつきがある」とした。

IMFは中国の成長率予想を8.4%と予想し、前回から0.3%ポイント上方修正した。ゴピナート氏は引き上げについて、主に米国の刺激策を背景とした中国輸出に対する外需の拡大を反映していると指摘。同時に、中国国内の消費支出は依然停滞しており、成長は主に公共投資が主導しているとの認識を示した。

IMFは、見通しには高度な不確実性があると強調。パンデミック対応の成功をはじめ、いくつかの要因のどれか一つでも回復をとん挫させる可能性があると指摘した。