[ワシントン 9日 ロイター] – 米労働省が9日に発表した3月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比1.0%上昇、前年同月比4.2%上昇し、ともに市場予想を上回った。前年同月比の伸びは2011年9月以来の高水準。政府の大規模な景気刺激策と新型コロナウイルス感染状況の改善で経済活動の再開が進む中、物価が上昇に向けて動き始めた可能性が示唆された。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は前月比0.5%上昇、前年比3.8%上昇だった。2月は前月比0.5%上昇、前年比2.8%上昇していた。

3月はモノとサービスの双方が上昇。モノは前月比1.7%上昇と、前月の1.4%から加速し、09年12月以来の高水準となった。サービスは0.7%上昇。前月は0.1%上昇していた。

ハイフリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク州)のチーフ米国エコノミスト、ルベーラ・ファルーキ氏は、サービス産業の営業再開のほか、供給網の阻害による短期的な圧力を受け、物価指数は底堅く推移すると予想。ただ「労働市場に残存する大きなスラック(需給の緩み)を踏まえると、インフレが一時要因を超えて上昇し続ける公算は小さい」と述べた。

部門別ではエネルギーが5.9%上昇、食品が0.5%上昇。変動の大きい食品・エネルギー・貿易サービスを除いたコア指数は前月比0.6%上昇、前年比3.1%上昇。前年比での上昇は18年9月以来の大きさだった。

今回の卸売物価統計は、労働省のウェブサイトの不具合で発表が若干遅延した。