[台北 15日 ロイター] – 半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が15日発表した第1・四半期決算は、純利益が1397億台湾ドル(49億3000万米ドル)となり19.4%増加した。新型コロナウイルス禍の中、パソコン(PC)など向けの半導体の需要が伸びた。
リフィニティブがまとめたアナリスト22人の予想平均(1340億1000万台湾ドル)を上回った。
TSMCは、新型コロナ流行に伴い先進半導体への需要が拡大しているとして、「数年にわたる成長チャンス」にあると指摘している。世界的な半導体不足も追い風となった。
売上高は米ドル建てで前年同期比25.4%増の129億2000万米ドルと過去最高。同社の見通し(127億─130億米ドル)に沿う内容となった。
同社は、生産性を向上させ世界的な半導体不足解消に向け全力で取り組んでいると強調。ただ、供給不足は来年にかけて続くとの見通しを示した。
自動車向け半導体の不足は、第3・四半期から大幅に改善する見込み。
魏哲家(C・C・ウェイ)最高経営責任者(CEO)はオンライン会見で「われわれは土地と設備を取得し、新たな施設の建設を開始している。数千人を雇用し、複数の拠点で生産能力を拡大している」と述べた。
ウェンデル・ファン副社長兼最高財務責任者(CFO)は、第1・四半期は高性能の半導体絡みの需要に支えられたと述べた。
第2・四半期売上高の予想レンジは129億─132億米ドル。前年同期は103億8000万米ドルだった。2021年の売上高の伸び率予想も当初の10%台半ばから約20%に引き上げた。
今年の高性能半導体の生産・開発の設備投資額も、1月の予想250億─280億米ドルから約300億米ドルに上方修正した。
同社は今月、半導体工場の生産能力拡大に向け、今後3年間に1000億ドルを投資する計画を発表した。
魏CEOは大規模な投資計画について、自社で最も先進的な5ナノメートルプロセス技術のほか、年内に試験生産を見込む3ナノプロセスに対する「より多くの顧客のより力強いコンタクト」に促されたものだと説明。地政学や新型コロナに伴う不透明感を背景に供給の安定化を図ろうとする顧客は「在庫水準を引き上げる」準備を進めているとした上で、自社の生産能力は年内を通じて引き続きタイトになるとの見方を示した。
アナリストは大規模な拡充計画を評価しており、第5世代移動通信システム(5G)技術と人工知能(AI)のアプリケーションが普及するにつれ、高性能半導体に対する世界の需要は急拡大すると見込んでいる。
同社の株価は年初来で約16%上昇。過去1年では2倍以上になった。時価総額は5580億米ドルと、インテルの2倍以上で、韓国のサムスン電子も上回っている。
15日の株価は1.14%高。台湾の指標株価指数は1.25%高。