• 大手行に上場維持を伝達、CVCへの融資拒否も非公式に要請-共同
  • 現時点での評価は不可能、詳細提案を受領したら慎重に検討-東芝

東芝は16日、英投資会社CVCキャピタル・パートナーズによる買収提案を拒否するとの報道について、「そのような決定はしていない」とのコメントを発表した。共同通信などが複数の関係者の話を基に報じていた。

  報道によると、非公開化を前提としたCVCの買収案に対し、東芝幹部は大手銀行に上場は絶対に維持すると伝え、CVCに買収資金を融資しないように非公式に要請した。東芝の永山治取締役会議長も反対しているという。

  CVCは買収方針を変えずに詳細な提案をまとめる意向だが、東芝の拒否により国内企業の協力を得ることが難しくなったとも報じている。敵対的な株式公開買い付け(TOB)に発展する可能性が出てきたとしている。

  東芝は16日午前に公表した声明で、提案は初期的で法的拘束力のないものであり、「現時点で評価することは不可能」とコメント。「今後、詳細提案を受領したら慎重に検討する」という。開示すべき事項については速やかに公表するとしている。

  東芝の株価は16日の取引で5日ぶりに反落。一時前日比5.3%安の4635円と9日(6.1%安)以来、1週間ぶりの日中下落率となった。

  シティグループ証券の江沢厚太アナリストはリポートで、CVCの提案が呼び水となって他のファンドによる提案などを巻き起こし、東芝へのTOBは一定程度までは議論が進む可能性が高いと想定していると指摘した。

  14日付で東芝の経営トップに復帰した綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)は同日の会見で、株主と対立する中での定時株主総会や、CVCからの買収提案などへの対応が喫緊のミッションになると述べた。永山治取締役会議長は、CVCから正式提案があれば検討する姿勢を示していた。

  CVCは4月6日に東芝に対し買収の初期提案を提示した。ただ、14日付で社長を辞任した車谷暢昭氏を中心とする旧経営体制の維持が前提条件となっていた。CVCはかつて車谷氏が日本法人の会長兼共同代表を務めていたため、利益相反も指摘されている。

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