【ベルリン時事】ドイツ野党・緑の党は19日、女性のベーアボック共同党首(40)を、9月の連邦議会(下院)選挙での「首相候補」に選出したと発表した。緑の党は最近、大幅に支持を伸ばす一方、同選挙に出馬せず引退するメルケル首相の与党・キリスト教民主同盟(CDU)は低迷。CDUは依然優勢を保っているが、緑の党が首相を輩出する可能性も出ている。

 首相候補は選挙戦で党の顔として戦い、連立交渉で主導権を握れば、首相の座を手にすることもあり得る。従来はCDU中心の会派と、連立与党・社民党の二大政党が首相候補を出していたが、緑の党の支持率は現在、社民党を抜き2位に。トップのCDUとの差は7~8ポイントに迫っている。

 ベーアボック氏は、男性のハーベック共同党首と党を率いてきた。緑の党はベーアボック氏を首相候補に選出し、政権主導を目指す方針を明確にした形で、同氏は19日の記者会見で「良い未来のためには、変化が必要だ」と述べ、政治の刷新や気候変動対策、デジタル化推進などを訴えた。

 一方、CDUと統一会派を組む姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)は、ラシェットCDU党首とゼーダーCSU党首が共に首相候補を目指して譲らず、人選が決まらない状況だ。