欧州サッカーの名門12クラブが打ち出した「欧州スーパーリーグ(ESL)」創設計画は、発表からわずか数日で崩壊した。サッカー連盟や政界、ファンの激しい反発を招いたためだ。
ESL創設を主導した1人であるイタリアのユベントス・フットボール・クラブ会長のアンドレア・アニェッリ氏は、もはや計画が前進することはないと広報担当者を通じて発表した。ESLはこれより先、「計画を練り直すための適切な措置」を検討するとしていた。
参加予定だったイングランド・プレミアリーグの6つのクラブが20日夜に相次いで撤退を表明し、ESLの頓挫はすでに避けられなかった。プレミアリーグは世界で最も市場性のあるクラブのいくつかを抱え、スポンサーや放映権で多額の収入を稼ぐ。21日朝にはスペインのアトレチコ・マドリード、インテル・ミラノも撤退を発表、コメントを発していないのはスペインのレアル・マドリードとバルセロナだけとなった。
6つのクラブの一角のマンチェスター・ユナイテッドは「ファンや英政府、その他の主要な利害関係者からの反応に注意深く耳を傾けた」と説明した。チェルシーフットボールクラブは、ロンドンのスタジアムでファンが抗議活動を行う中、「クラブとサポーター、幅広いサッカー界の最善の利益」を考慮した上で撤退手続きを開始したと発表した。
最初に脱退したのはマンチェスター・シティで、アーセナルとトッテナム・ホットスパー、リバプールも続いた。
米銀JPモルガン・チェースから40億ユーロ(約5200億円)の資金提供を受ける同計画を立案した幹部らは、新リーグ構想救済を議論していたと関係者2人は話した。
欧州サッカー「スーパーリーグ」、非難の嵐がJPモルガン巻き込む
同計画は欧州サッカー連盟(UEFA)や国内リーグとの論争を招き、ジョンソン英首相ら政界リーダーも介入に動いていた。
当初の計画ではイングランドから6つ、イタリアとスペインからそれぞれ3つのクラブが参加を表明。これらのクラブはいずれも幅広いファン層を持つが、多額の負債も抱えている。新リーグ創設で放映権を獲得し、コロナ禍の1年の無観客試合で落ち込んだ収入を支えたい考えだった。
原題:Europe’s Rebel Soccer League Collapses After Fans Force Exit (1)、Europe’s Rebel Soccer League Edges Toward Collapse After Outcry(抜粋)