中国、自国出身ジャオ監督のアカデミー賞受賞情報を遮断
『ノマドランド』で作品賞と監督賞を受賞したクロエ・ジャオ氏。米カリフォルニア州ロサンゼルスで開かれた第93回アカデミー賞授賞式で(2021年4月25日撮影)。(c)Chris Pizzello / POOL / AFP

【4月26日 AFP】米アカデミー賞(Academy Awards)で、中国・北京生まれのクロエ・ジャオ(Chloe Zhao)氏が非白人女性として初めて監督賞を受賞するという快挙を成し遂げたものの、中国のソーシャルメディアでは26日、この情報が遮断されている。ジャオ監督は、過去に中国批判に当たる発言があったとして、愛国主義的な反発にさらされている。

 ジャオ氏は25日、米国を舞台にしたロードムービー『ノマドランド(Nomadland)』で女性としては史上2人目となる監督賞を受賞。作品賞に加え、主演のフランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)さんが主演女優賞を獲得した。

 だが中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」上では、ジャオ氏の名前や「ノマドランド」という言葉が含まれた最近の投稿が、26日正午(日本時間午後1時)までに全てこつぜんと消えてしまった。

 また中国メディアも、ジャオ氏の受賞について沈黙を貫いている。同作は先月、ゴールデン・グローブ(Golden Globes)賞で成功を収めると、中国国営メディアから称賛を受けていた。だがソーシャルメディアユーザーらが、出身国批判に当たるとみられる同氏の過去のインタビューを掘り起こしてからというもの、同氏には愛国主義的な非難が向けられている。

 国内の映画館は、同作の公開予定を撤回。また今年のアカデミー賞授賞式は、テレビやストリーミングサービスでも放送されなかった。

(c)AFP