[ワシントン 28日 ロイター] – バイデン米大統領は28日、就任後初めて議会で施政方針演説を行い、「米国は再び動き出した」と述べた。一方で、中国の影響力拡大に改めて警戒感を示し、対中国で党派を越えた結束を訴えた。

バイデン氏は「(大統領就任から)ちょうど100日という節目に国民にこう言える。米国は再び動き出した。災難を可能性に、危機を機会に、後退から強さに転換させた」と表明。一連の大規模施策は米国の未来に不可欠な一世代に一度の投資だと訴えた。

<「中国対抗」鮮明に>

新型コロナウイルス危機の中、トランプ前政権から国政の運営を引き継いだバイデン大統領は、危機を自身の政策方針を推し進める機会とし、大規模な景気対策、雇用支援、インフラ投資計画を打ち出している。

バイデン氏は、景気対策は中国に対抗する上で必要と強調。

「中国などの国が急速に追い上げてきている」と警戒感を示した。

中国の習近平国家主席とはこれまで時間をかけて対話をしてきた、とした上で「彼は、世界で最も重要な国になることに強い意欲を持っている。民主主義は合意形成に時間がかかり過ぎ、独裁主義に太刀打ちできないと考えている」などと語った。

<増税に理解求める>

バイデン氏は、1兆8000億ドルの子育て、介護支援策「家族計画」の財源を賄うための法人税や富裕層のキャピタルゲイン(株式譲渡益)税引き上げの必要性を訴え、「今こそ、米国企業や国民の1%を占める富裕層が相応の負担をする時だ」と述べた。

共和党は歳出拡大や増税に反対。一方、リベラル派の民主党議員からは、さらに積極的な措置を求める声が上がっている。

バイデン氏は、双方と議論して合意を目指す考えを示した。5月12日にはホワイトハウスで民主・共和両党の有力議員との協議が予定されている。

<共和党は批判>

2022年の中間選挙で巻き返しを狙い、「反バイデン」で結束しようとしている共和党は、下院トップのマッカーシー院内総務をはじめ冷ややかな反応だった。

スコット上院議員は、バイデン氏の提案は長期的な経済成長を損ねると指摘し「最良の未来は、ワシントンのスキームや社会主義的な夢では実現しない」と述べた。また、バイデン氏が、トランプ前政権がもたらした景気回復の恩恵を享受しているとも指摘した。

民主党のリベラル派、ボウマン議員は、バイデン氏の提案は重要としたものの、雇用や気候、社会保障の危機を解決するには不十分と指摘した。