米電気自動車(EV)メーカーのテスラは、温暖化ガス排出枠(クレジット)の販売先を一つ失う見通しだ。同社が約2年にわたり続けてきた四半期黒字には、クレジット販売が大きく寄与している。

  フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とフランスのグループPSAの統合で誕生したステランティスは、欧州の環境規制に対応するためにテスラと結んでいたクレジット売買合意を解消すると5日に発表した。自社の努力で環境基準を達成することにより、3億ユーロ(約400億円)程度を節約できると、リチャード・パーマー最高財務責任者(CFO)は述べた。このうち約2億ユーロはテスラに支払われることになっていた分だという。

  ステランティスは「今年は他社との『オープン・プール』取り決めなしに、欧州の二酸化炭素排出量目標を達成できる状況になった」とのコメントを電子メールで発表した。テスラの担当者はコメントの要請に今のところ応じていない。

  欧州をはじめ中国や米国で厳格化する環境規制の達成に必要なクレジットを、テスラは他社に売却することで売上高を上積みしてきた。この売り上げはそのまま利益として計上され、この利益はGAAP(一般会計原則)ベースのテスラの純利益を上回り続けている。このため過去数四半期のテスラ決算は、クレジットの売り上げがなければ赤字になっていた計算だ。

原題:Tesla Losing Source of Credit Revenue That’s Been Key to Profits(抜粋)