[ワシントン 6日 ロイター] – 米労働省が6日に発表した1日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は49万8000件と、前週の59万件から改善した。これは、新型コロナウイルス感染の第1波を抑制するために生活に必須でない事業の閉鎖が義務付けられた2020年3月中旬以来の低水準だ。
新柄コロナの状況が改善し大規模な財政刺激策が導入されたことで景気が加速する中、労働市場の回復が鮮明となっている。市場予想は54万件だった。
失業保険申請件数は20年4月上旬に記録した過去最高の614万9000件からは減少しているものの、健全な労働市場の目安となる20万─25万件を依然として大きく超えている。
PNCフィナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「労働市場の回復が新たな段階に入ったと考えられ、失業者数が高止まる一方で、労働市場の回復ペースは速まっている」と分析した。
申請件数が高止まりしている要因として、不正申請や政府による失業保険手当の上乗せ対策が指摘されている。政府の上乗せ対策により対象外の人が手当を受けようと試みている可能性がある。ただすべての申請が承認されるわけではなく、上乗せ手当を受けられることが就業意欲を妨げ、多くの産業で労働者が不足している要因となっている可能性もある。
自営業者や単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」などに適用されるパンデミック失業支援(PUA)を含む申請件数は60万5884件。コロナ経済対策に基づく失業手当の給付は9月上旬まで継続される。
初回給付以降も継続して失業保険を受け取った人は、4月24日までの1週間で3万7000人増加し369万人。何らかの失業手当を受けた人は4月中旬時点で1620万人に上る。
こうした中、米民間雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが6日発表した米企業による4月の人員削減数は前月比25%減の2万2913人と、2000年6月以降で最低となった。年初からの人員削減総数も前年同期比で84%減少した。
失業保険申請件数と人員削減数の統計を受け、7日に発表される4月の雇用統計も就業者数が大幅に増えるとの見方が高まった。ロイター調査によると、非農業部門の就業者数は97万8000人の増加と、前月の91万6000人から伸びが拡大する見込みだ。