【北京、ワシントン時事】中国の宇宙当局は9日、4月下旬に打ち上げた大型ロケット「長征5号B」の残骸が同日午前10時24分(日本時間同11時24分)、大気圏に再突入し、インド洋に落下したと発表した。長征5号Bをめぐっては、米軍が「制御不能状態のまま大気圏に近く再突入する」として追跡情報を公表。国際的に懸念が高まっていたが、落下による人的被害などは報告されていない。

危険性「極めて低い」 ロケット大気圏再突入―中国

 中国有人宇宙プロジェクト弁公室の発表によると、落下地点は北緯2.65度、東経72.47度の周辺海域。「ほとんどの部品は大気圏に再突入する過程で燃え尽きた」と説明した。一方、米宇宙軍は、残骸が日本時間同日午前11時14分ごろに大気圏に再突入し、モルディブ北方のインド洋に落下したと発表した。

 中国は4月29日、最大の運搬能力を持つ長征5号Bを使って、独自の有人宇宙ステーションのコアモジュールを打ち上げ、地球周回軌道への投入に成功。2022年の完成・運用を目指し、今後も有人宇宙船や実験モジュールなど10回の打ち上げを計画している。