コーズウェー・キャピタル・マネジメントでバリュー投資を手掛けるサラ・ケッテラー最高経営責任者(CEO)は、次の景気低迷期に備え、新型コロナウイルス禍で大きく盛り返した業界から投資資金を引き揚げている。

  ケッテラー氏が懸念するのは、米金融当局が市場に一層の流動性を供給する中での金利上昇やインフレ高進、そして急速な相場急落の可能性だ。12日発表の米消費者物価指数(CPI)が前月比で2009年以来の大きな伸びとなり、インフレ圧力の高まりを示唆したことも、同氏の懸念を増幅させかねない。

米消費者物価指数、前月比で2009年以来の大幅な伸び-予想上回る (1)

  市場で引き続き景気循環銘柄が支持される中でも、運用資産470億ドル(約5兆1500億円)のコーズウェーは、ヘルスケアや医薬品、公益、再生可能エネルギー、生活必需品など「ディフェンシブ」銘柄を買い増している。

  ジェレミー・グランサム氏など一部のバリュー投資家は、米株市場の暴落を予測する。一方、ケッテラー氏はそれに比べると前向きな見方をしており、キャッシュフローを生み出す企業を選好している。こうした企業は金利上昇の影響を受けにくく、配当金支払いや自社株買いによる投資リターン拡大も見込めるからだ。

  同氏はまた、バイデン大統領がキャピタルゲイン増税を計画していることを踏まえ、コーズウェーとしてアクティブ運用型上場投資信託(ETF)への参入を検討しているとも明らかにした。

原題:Inflation Signals ‘Risk Off’ for $47 Billion Value Manager (1)(抜粋)