[ワシントン 13日 ロイター] – 身代金を要求するランサムウエアによるサイバー攻撃を受け、6日間の操業停止を余儀なくされていた米パイプライン最大手コロニアル・パイプラインは13日、初回分の自動車燃料の輸送の一部を開始した。

こうした中、ブルームバーグは関係筋2人の情報として、コロニアルが東欧系のハッカー集団に対し、約500万ドルの身代金を払ったと報じた。

身代金はサイバー攻撃のあった数時間後、追跡不可能な暗号通貨で支払われたという。

ハッカー集団は身代金と引き換えに、システム復旧に必要な暗号の解除キーをコロニアルに提供。しかし、解除キーによる暗号解除のペースは遅く、コロニアルは独自のバックアップを用い、システムを復旧させたという。

コロニアルからコメントは得られていない。

関係筋によると、コロニアルは身代金の支払いをカバーする保険に加入している。

ペロシ米下院議長(民主党)は「主要インフラの安全を脅かせば、金が手に入ると思われることは望ましくない」とし、サイバー攻撃を受けた企業は身代金を支払うべきではないと強調した。

さらに、コロニアルに仕掛けられたサイバー攻撃が「プーチン(大統領)によるものかどうかは不明だが、ロシア系の仕業だ」との考えを示した。

コロニアルは7日、サイバー攻撃を受け、ガソリンやディーゼル、ジェット燃料など1日250万バレルを輸送するパイプラインを7日に停止。12日夕に操業を再開した。

米エネルギー省のグランホルム長官は「コロニアルから夜間の操業再開が順調に進んだという報告があった。週末までに状況は正常化する見通しだ」とツイッターに投稿した。同長官はまた、MSNBCやCNNとのインタビューで、燃料不足を巡る状況は一時的で、大半の地域で数日中に解消されると語った。

燃料の逼迫(ひっぱく)に対応するため、米国土安全保障省のマヨルカス長官は、石油製品をメキシコ湾岸から東海岸に輸送する船舶の一部に対し、米国内の海運に関する法律「ジョーンズ・アクト」の適用を一時的に免除すると表明した。同法は、米国内の港間の輸送に携わる船舶が米国で建造され、乗組員を米国人とすることを規定している。