米通信事業者AT&Tはメディア事業をスピンオフし、メディア運営会社ディスカバリーと統合させることで合意した。この取引によりCNNやHBOのほかフード・ネットワークなど多様な資産を持つ新たなエンターテインメント大手が誕生する。
AT&Tは現金や債券など430億ドル(約4兆6960億円)相当を受け取る。17日の発表資料によれば、同社の株主は新会社の株式71%を受け取る。ディスカバリーのデービッド・ザスラブ最高経営責任者(CEO)が統合後の新会社を率いるという。
今回の取引はブルームバーグが最初に報じた。ディスカバリーが築いたリアリティーテレビ帝国と、AT&Tのワーナーメディアが幅広く展開するメディア事業を統合し、ネットフリックスやウォルト・ディズニーに匹敵する規模になる。
長年にわたり通信とメディアの垂直統合を目指してきたAT&Tは、エンターテインメント業界での野心を諦めた格好だ。同社は2018年に完了した850億ドルに及ぶタイム・ワーナー買収を通じて、複数の有力なエンターテイメントブランドを手に入れたばかりだった。
AT&Tが切り離すワーナーメディアには、CNNやHBOのほかにカートゥーン・ネットワーク、TNT、ワーナー・ブラザースなどが含まれる。ディスカバリーはTLCやアニマル・プラネットなどを抱える。
今回の動きは、AT&Tやベライゾン・コミュニケーションズのような通信会社がメディア事業で採算を取ることの難しさを浮き彫りにしている。ベライゾンは今月、業務のスリム化計画を明らかにし、メディア部門を投資会社アポロ・グローバル・マネジメントに50億ドルで売却すると発表した。これによりAOLやヤフーといったインターネットサービスの資産を手放す。
原題:AT&T, Discovery Merge Media Assets to Build Entertainment Giant(抜粋)