朝日新聞の前期決算がきのう発表された。純損益が441億円の大赤字(前期は106億円の黒字)だ。新型コロナの影響による事業収益の減少が要因だという。以下は朝日新聞デジタルに掲載された記事。「2021年3月期連結決算は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、売上高が前年比16・9%減の2937億7100万円、営業損益が70億3100万円の赤字だった。業績の動向などから、将来の利益を前提に税金の前払い分を資産として計上する『繰り延べ税金資産』を取り崩したため、純損益は441億9400万円の赤字となった。赤字は11年ぶり」。時事ドットコムによると「1879年の創刊以来、過去最大の赤字幅」だという。朝日新聞もコロナに勝てなかったということか。繰延税金資産を取り崩したとあるから、過去に有価証券か不動産の含み損があったのだろう。財務体質は見かけほど良くなかったのかもしれない。今期に黒字化を目指すとあるが、はたしてどうなるか・・・。

朝日新聞は報道機関であると同時に様々なイベントを行うコンテンツ事業や不動産事業を展開している。日経web版には2020年3月期(前々期期)の決算データが載っている。それによると同社の営業利益は連結ベースで約24億円の黒字。内訳は不動産事業が74億円の黒字、主軸であるメディア・コンテンツ事業は約50億円の赤字である。財務状況を見る限り朝日新聞は報道機関というよりは、不動産会社といったほうがいいかもしれない。それはともかく肝心の「メディア・コンテンツ事業」は前期も不振だった。赤字はコロナの影響とあるが、主軸のニュースやコンテンツはコロナ前から振るわなかった。コロナ禍ではむしろ、ニュースに対する関心が高まっていた。不振の原因は「新型コロナの影響」ではなく、日常化した読者離れではないか。大赤字の報道を見てふとそんな気がした。

米国のワシントンポストやニューヨークタイムズは、コロナ禍でWeb版のアクセスが急増、大幅な増益を達成している。この差は一体何だろうか。いつもの通り根拠のない妄想を逞しくしてみた。朝日新聞に限らず日本のメディアはコロナ禍で、これでもか、これでもか、というぐらい読者の不安を煽り立てた。いまでもそれは続いている。三密回避に向けてメディアがコロナに対する恐怖心や緊張感を掻き立てることは、感染防止という観点から見てある意味では致し方ない面もある。だが、1年前と同じような報道がいまだに続いている。「朝日新聞はオオカミ少年か」、読者にすれば新聞もテレビも信用できなくなる。未知なる経験であるパンデミック、肝心なのは日本中が総力をあげてウイルスと闘うことだ。権力チェックを大上段に振りかざすだけでは、朝日新聞に対する信頼は回復しないだろう。