【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナルは28日付の社説で、7月23日開幕予定の東京五輪に関し、中止または再延期に踏み切るかは日本の判断だとした上で、「米国は同盟国である日本を助けるためにもっと多くのことができる」と指摘し、バイデン政権が五輪開催に向けて菅義偉政権を支援すべきだと主張した。

社説は、米国務省が24日に新型コロナウイルスの感染拡大を理由に日本への渡航警戒レベルを引き上げ、「渡航中止勧告」を出したことについて、日本が何万人もの出場選手や関係者を受け入れ始める中で「誤ったメッセージを送ることになる」と批判した。

また、バイデン大統領が菅首相と4月の首脳会談の後に発表した共同声明で「安心で安全な五輪とパラリンピックを実施するための菅首相の取り組みを支持する」と表明していたと指摘し、「バイデン氏が本気なら、渡航中止勧告の撤回が(五輪開催を支援する)良い出発点になるだろう」と指摘した。

バイデン政権が日本にワクチンの緊急支援を申し出ることも提案した。

さらに、中国が来年の北京冬季五輪を主催することを想起すべきだとし、「権威主義諸国は自国の政治形態(の優越性)を誇示する場として五輪を活用してくる。東京五輪の失敗は中国政府にとってプロパガンダ上の大勝利となるだろう」と警告し、開催の政治的重要性を強調した。

同時に、東京五輪の開催は、1年以上のロックダウン(都市封鎖)を経て「世界が再び動き出したという重要なメッセージを送ることになる」と訴えた。