【イスタンブール時事】イスラエルの中道政党イェシュアティドなど野党勢力8党は2日夜(日本時間3日未明)、3月の総選挙(国会定数120)を受けた新たな連立政権樹立で合意した。イェシュアティド党首のラピド元財務相が取りまとめた合意によれば、最長4年の任期となる首相について、当初2年間は極右ヤミナ党首のベネット前国防相が務め、その後、ラピド氏に交代する「輪番制」を採用する。
野党勢力が連立合意 首相は「輪番」―ネタニヤフ陣営は抵抗・イスラエル
汚職問題を抱えるネタニヤフ首相の続投に反対する各党が、政策の違いを脇に置き、ひとまず結束した形。これまで連続12年、通算15年にわたり首相を務めたネタニヤフ氏が退陣すれば、イスラエル政治の大きな転換点となる。
ラピド氏は合意成立を受け、「すべてのイスラエル市民に尽くす」と強調。現在は与党だが、ネタニヤフ氏とたもとを分かった中道「青と白」党首のガンツ国防相は合意について「大きな希望だ」と述べた。
国会での新政権の承認と就任宣誓は7日以降となる見通し。ネタニヤフ氏は3日、右派や極右の野党議員を念頭に「危険な左派政府への反対」を呼び掛けた。野党側の一部を切り崩し、承認を阻止する狙いとみられる。現地メディアによれば、ネタニヤフ氏の支持者の一部が特定の野党政治家を脅迫するなど、政権交代に抵抗する活動を激化させている。
イスラエルでは政局の混乱が続き、2019年4月以降で4度目となる総選挙が今年3月に行われた。ネタニヤフ氏が率いる右派リクード(30議席)が第1党となったが、汚職疑惑の裁判が進んでいるネタニヤフ氏は過半数の議員から支持を得られず、組閣に失敗した。
これを受け、第2党イェシュアティド(17議席)のラピド氏が野党勢力の糾合を図り、ほかの7党(計45議席)の協力を得て何とか過半数を確保した。ただ、既に左派やアラブ系政党との連携に抵抗感が根強いヤミナの一部から離反の動きが出ており、国会承認の時点で過半数を割り込む可能性もある。