【北京時事】中国で社会的な競争を避けようとする「横たわり族」と呼ばれる20、30代の若者が増えている。特徴は、物質的な欲求が乏しく、勤労や結婚、出産に積極的でないこと。共産党体制側は経済成長の阻害要因になるとみて警戒している。
3日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は、仕事上のストレス、家族のトラブル、経済的な困難を経験し、「横たわり族」になった若者を紹介した。中国では幼い頃から習い事や受験で厳しい競争にさらされる。最近では「朝9時から夜9時まで週6日働く」ことを意味する「996」と呼ばれる過酷な労働慣行が広がり、若者に徒労感がまん延している。
環球時報によると、福建省の有名不動産会社に勤務する25歳の女性は「996」勤務に疲れ果て、「横たわり族」になることを選択。45分働くごとに10分休憩し、できる限り残業しないようになった。
有力紙・光明日報は「『横たわり族』は明らかに経済社会の発展にマイナスだ」と訴えた。経済発展の実績は、選挙を経ずに独裁体制を維持する共産党の大義名分となってきた。「頑張らない」風潮の広がりに共産党体制は懸念を強めている。
同紙は「企業は努力した人に満足できる成果を与えるべきだ」と強調した。しかし、努力する意欲を失った若者を奮起させる具体策は見えていない。