• 10年債利回りは1.5%を割り込む-統計受けていったん4bp上昇後
  • 明確な材料を伴わずに3日連続低下ーショートポジション調整を示唆

10日の米金融市場では、10年物米国債利回りが3カ月ぶりの低水準となった。5月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る伸びを示したが、トレーダーはショートポジションの解消を続けている。

  10年債利回りは一時3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.4638%と、5月7日以降の低水準と100日移動平均を下回り、3月4日以来の低さとなった。これより早い段階では、CPI統計を受け、一時は4bp上昇し1.53%に達していた。

  利回りは明確な材料を伴わずに3日連続の低下となった。これは市場の大規模なショートポジションに調整が進んでいることを示唆するものだ。また米国債の買いは、物価上昇圧力が「一時的」とみる米金融当局の見解を裏付けているとも言えそうだ。

  一方、米国債市場は今週最後のクーポン債入札の消化には苦戦した。240億ドル(約2兆6200億円)規模の30年債落札利回りは、応札締め切り時点に市場で示唆された水準を若干上回った。また15、16両日には米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えている。

  CPIが予想を上回ったことは、金融政策の正常化を開始する計画を米金融当局が数カ月以内に示唆するとの観測に追い風となったが、市場の見方に根本的な変化はなさそうだ。

  ナショナル・アライアンスの国際債券責任者、アンドルー・ブレナー氏はリポートで「市場ではショートカバーとリフレ取引解消が見られる」と指摘した。

  一方、米国債利回りに基づく10年先のインフレ見通しの指標とされる10年物ブレークイーブン・レートは約2.37%に上昇した。2年債と10年債の利回り格差を測るイールドカーブ(利回り曲線)もスティープ化し、格差は一時137bpに拡大した。それより前の段階では一時132bpと、3月以来の低水準となっていた。

原題:Hunger for Treasuries Drags Yields to 3-Month Low Despite CPI(抜粋)