【ベルリン時事】イラン大統領選で、反米保守強硬派のライシ司法府代表が勝利した。現職のロウハニ大統領の下で続けられてきた欧米など主要国との核合意の再建交渉については、ライシ師も合意破棄は望まず再建を目指す方針だ。ロウハニ大統領の任期も8月初めまで残っており、当面は従来通り交渉が続くとみられる。
核合意再建交渉には、合意復帰と対イラン経済制裁解除を検討する米バイデン政権と、合意当事国で、米イラン間の仲介に当たる英仏独中ロが参加している。各国は大統領選までの妥結を目指していたが、制裁解除の詳細をめぐる米イランの溝は埋まっていない。
イランの核開発を監視するグロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長は16日付のイタリア紙とのインタビューで、交渉決着には「イラン新政権を待たねばならない」と語った。
ライシ師は反米派ながら、経済立て直しを重視し、合意を尊重する意向を示している。ただ、自身が米国の制裁対象になっているなど、対立解消に向けた不安要素も多い。
核合意は2015年に締結された。イランが核開発を制限する一方、各国は経済制裁を解除する内容だったが、トランプ前米政権が18年に離脱して制裁を復活させ、イラン側も対抗して核開発を加速させている。今年1月に発足したバイデン政権が合意復帰を検討すると表明し、4月に交渉が始まった。
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