高齢者向けのワクチン接種を加速させるため、北海道釧路市は問診に当たる医師の一部を日給17万円余りで確保し、20日から大規模会場での接種を始めました。

釧路市は、1日1000人に接種できる大規模な接種会場を設置し、20日午前、接種を始めました。

会場では高齢者は、いすに座ったまま、医師や看護師が会場内を移動する「巡回方式」で問診や接種が行われています。

会場には、問診に当たる医師7人が常駐しますが、市内の医療機関では対応できる医師が集まらず、今月21日から25日と、今月28日から来月2日の平日の10日間は、日給17万5000円で道内外から募集し、必要な延べ70人を確保しました。

接種を受けた70代の男性は「やっと接種ができてよかったです」と話していました。

釧路市の蝦名大也市長は「会場の設置で来月末までの接種の完了が見えた。高額の日給については、まさに『需要と供給』ということだ」と話しました。

冷蔵庫の温度高くなる不具合で一部のワクチン廃棄も

一方、釧路市はワクチンを保管していた冷蔵庫の温度が高くなっていたため、20日に使用する予定だった合わせて1002人分を廃棄したと発表しました。

市によりますと、ワクチンは解凍後、8度以下で保管する必要がありましたが、20日朝、冷蔵庫内の温度が12度に上がっていたということで、冷蔵庫の不具合とみて原因を調べています。

釧路市は別のワクチンを急きょ、解凍して対応したということで「スケジュールに影響はないが、再発防止を徹底したい」としています。

日給引き上げ全国から医師募集 費用は国が負担

北海道釧路市は大規模な接種会場の設置にあたり、会場で問診にあたる医師を確保するため、今月初めからインターネットの求人サイトを通じて募集を行いました。

当初の条件は日給10万5000円でしたが、特に平日は応募が少なかったため、21日から25日と、今月28日から来月2日の平日の10日間は日給を17万5000円に引き上げることにしました。

時給に換算すると2万5000円、釧路までの交通費を支給するほか、ホテルや3食の食事も用意されます。

引き上げた日給で改めて募集を行ったところ、全国から応募が相次ぎ、必要な延べ70人の医師を確保できたということです。

釧路市の担当者は「急きょ、国から、来月末までに高齢者向けの接種を終えるよう前倒しを迫られ、医師の目にとまるように高めの日給を設定した。アクセスが悪い立地を考えると、ほかの自治体と差をつける必要があった」と話しています。

釧路市によりますと、医師の確保にかかる費用は全額、国が負担するということです。