年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の宮園雅敬理事長は2日、中国国債の資産への組み入れについて「一つの選択肢としてあり得る」と話した。
ただ、外国人投資家に対する市場の制約に懸念も表明。「非常に慎重に考えざるを得ない」とした上で、「長期的にみて適切な解を求めていきたい」と話した。
実務的な課題や結論を出す時期については回答しなかった。1月の記者会見では「法人内でよく論点を整理して、今後の対応を決めていきたい」と述べていた。
FTSEラッセル社は10月から、世界的な債券ベンチマークの世界国債インデックス(WGBI)に中国国債を段階的に組み入れる。中国の資本規制に伴うリスクと中国経済から得られるリターンをてんびんにかけることになり、GPIFも対応を迫られている。
GPIFの基本ポートフォリオは20年度から、国内外の株式と債券に25%ずつ分散している。
宮園理事長は、ポートフォリオを変更する状況にはないと説明。一方、市場動向によっては、基本ポートフォリオからの乖離(かいり)が認められる幅を活用し、「取るべきリスクを取る局面もある」と話した。
また本年度も、新しいアクティブファンドや新しいスタイルのファンドは積極的に採用し、「将来の収益の源泉の多様化に努めていきたい」との考えを示した。
GPIFの運用収益率プラス25.15%、内外株高で過去最高-20年度
他の発言
- 25%超の収益率は過去最高で歴史的に特別高い
- 本年度は一方的な株価上昇は見込みにくい
- 一喜一憂せずリスク管理に努め長い航海を安定的に
- 50年間は本格的に積立金を取り崩さない
- ESG指数連動10.6兆円、グリーンボンド1.1兆円-ESG投資額
- どのくらい増やすか答えは差し控える
- 政策や社会的課題解決は投資の目的ではない
- 安定収益に資本市場の持続的安定必要
- オルタナ投資、21年3月末で1.3兆円
- 伝統的資産と異なり分散投資効果
- 追い風に乗り、スピードと距離稼げた-年金財政への貢献