[ニューヨーク 2日 ロイター] – 米労働省が2日発表した6月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比85万人増と、5月の58万3000人増から伸びが加速した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●労働参加拡大で失業率低下は緩慢に<UBS(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、ワシリー・セレブリアコフ氏>全般的に正しい方向に向かっている。米労働市場は力強いが、労働市場に存在しているスラック(需給の緩み)がどの程度速く解消できるかは、まだ分からない。
 当社は見た目よりも大きなスラックが残っていると考えている。今後、より多くの人が労働市場に参加すると予想されるため、失業率の低下は緩慢になる。

●失業率は秋に本格的に低下<シーポート・グローバル・ホールディングス(ニューヨーク)のマネジング・ディレクター、トム・ディガロマ氏>非農業部門雇用者数はまずまずだったが、失業率がやや上昇した。雇用増の大部分は、外食、教育産業のものだった。秋に教育機関が再開されれば、失業率は本格的に低下する。かなり力強い経済活動の再開に向かっているが、この大部分が実現するのは秋になる。

●強すぎず適温、賃金圧力高止まらず<ウェルズ・ファーゴ・ウェルス&インベストメント・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、ダレル・クロンク氏>資本市場や株式・債券市場にとって、今回の内容はゴルディロックス(適温)と言え、十分に力強く、しかも強すぎず、まさに市場が求めていたものだった。望ましい雇用の伸びが見られたが、連邦準備理事会(FRB)に早めの対応を迫るほどではなかった。
 労働参加率は前月から横ばいだったものの、人々が労働市場に戻っていることを示しており、底堅さがうかがえる。経済の再開に伴い、サービス業が持ち直している。
 賃金も伸び始めており好調だが、賃金上昇圧力が高止まる兆しは見られない。
 これまで景気を押し上げてきたのは主に製造業やモノのセクターで、小売りや飲食、旅行などサービス業は望ましい状態ではなかった。しかし、サービス業が回復すれば賃金への圧力となるだろう。その意味で賃金動向が注目される。