米10年債利回りは一時1.25%を下回りました。リフレ取引が活発だった3月下旬には1.76%まで上昇していましたが、状況は様変わりしています。欧州中央銀行(ECB)がインフレのオーバーシュートを容認する姿勢を示し、ハト派色を強めたのも、新型コロナウイルスの変異株に苦しめられる経済状況が背景にあるようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

戦略転換

ECBは1年半に及んだ戦略点検の結果、中期で「対称的な」2%のインフレ率を目指すと発表し、「インフレが一時的な期間、度を超えない程度に目標を上回ることも示唆され得る」と説明した。従来のインフレ目標は「中期で2%を下回るがそれに近い水準」だったことから、今回の決定は大きな転換となる。

保有社債も売却

ニューヨーク連銀は、米連邦準備制度理事会(FRB)の「セカンダリーマーケット・コーポレートクレジットファシリティー(SMCCF)」で保有する社債の売却を7月12日に開始する。SMCCFは新型コロナウイルス禍に伴う金融市場の動揺を沈静化させる緊急措置の一環として昨年3月に整備された。上場投資信託(ETF)については、6月7日の売却開始を先に発表していた。

米IPO取りやめ

中国のフィットネスアプリ、キープは米国での新規株式公開(IPO)の計画を進めないことを決定したと、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が事情に詳しい関係者2人の話として報じた。モルガン・スタンレーのバンカーらは、今週予定されていたマーケティングに関する投資家との会議を中止したという。FTによれば、ポッドキャストのプラットフォーム、喜馬拉雅(シマラヤ)もここ数週間に米国でのIPO計画を取りやめた。香港での上場が望ましいと判断したという。

使用限定

米医薬品メーカーのバイオジェンはエーザイと共同開発したアルツハイマー病の新治療薬「アデュカヌマブ(製品名アデュヘルム)」について、軽度の認知機能障害または軽度認知症の段階にある患者に使用を限定した。米食品医薬品局(FDA)はアルツハイマー病の初期段階だけでなく、患者全般を対象にアデュヘルムを承認していた。バイオジェンとエーザイは初期段階の患者に重点を絞って臨床試験を実施した。

マンハッタンの復調

不動産鑑定会社ミラー・サミュエルと不動産仲介会社ダグラス・エリマンのリポートによると、ニューヨーク市マンハッタンでは6月の空き物件が前月比38%減の1万1853戸。1月以降では半分未満に減少している。6月の新規賃貸契約は前年同月比3倍の9462件と、両社がデータ集計を開始した2008年以降の最高を記録した。離れた借り手が戻ってきたことにより、山積していた空き物件は減りつつある。

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