[東京 8日 ロイター] – 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト(元日銀審議委員)は8日、東京都と沖縄県への緊急事態宣言の発令・延長による経済損失は1兆円を超えるとの試算を公表した。無観客で東京五輪大会が開催された場合の経済効果の約62%が失われることなるとしている。
政府は、新型コロナウイルス感染が再拡大している東京都に、12日から8月22日まで4度目となる緊急事態宣言を発令することを正式決定した。また、沖縄県にすでに発令されている緊急事態宣言は、同日まで延長する。
木内氏によると、東京都への宣言による経済損失は約9820億円、沖縄県は約450億円。合計1兆0260億円程度となり、年間GDPの0.19%に相当する。
一方、宣言発令により、東京五輪は無観客での開催の可能性が高まっている。木内氏によると、無観客開催となる場合、チケット購入がなくなり、関連する消費支出が減少することで経済効果は、観客を全て受け入れる場合から1468億円分減少し、1兆6640億円になる。
同氏は、今後、宣言の期間延長や対象地域が拡大されれば、経済損失が五輪効果を上回る可能性もあるとみている。
一方、「宣言は感染リスクの抑制には必要な措置であり、無観客開催とともに、東京五輪開催時の感染拡大のリスクを軽減する効果が一定程度期待される」とした。
政府や東京五輪・パラリンピック大会組織委員会などは今夜、5者会談を開き、観客数などを議論する見通し。