【香港時事】香港の地方議会に当たる区議会(479議席)で、多数派を占める民主派区議の辞職が相次いでいる。香港政府は月内にも区議に対して、「中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽くす」との宣誓を求める方針で、違反と判断されれば資格を剥奪されるためだ。香港メディアによると、7日以降、140人以上の区議が辞職を表明した。
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宣誓の義務化は国家安全維持法(国安法)の規定に沿うもので、5月に立法会(議会)で可決された。民主派区議の排除が狙いで、宣誓を拒否する行為だけでなく、過去の言動から「愛国的でない」と見なされても失職する。
当局判断で資格剥奪となれば、任期中の給与など約100万香港ドル(約1400万円)の返還も求められる見通しで、宣誓実施に先んじた辞職の動きを加速させている。2019年の反政府デモのスローガン「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、革命の時だ)」を事務所に掲げていただけでも違反とされる恐れがあり、最終的に失職する区議は230人に上るとみられている。
区議は地域の民生に関わる提言を政府に行う立場で、政策決定への影響力はほぼない。ただ、1人1票の直接投票で選ばれるため、香港の民意を反映する存在と捉えられている。19年11月の区議選では、民主派が8割超に当たる400近い議席を獲得する圧勝を収め、中国と香港政府は警戒を強めていた。