[フィラデルフィア 13日 ロイター] – バイデン米大統領は13日、ペンシルベニア州フィラデルフィアで演説し、有権者の投票権強化に向けた選挙改革法案の議会通過が「国家的な急務」と言明した。しかし、野党共和党の反対に直面する中、膠着(こうちゃく)状態の打開に向けた明確な道筋を示すには至らなかった。

与党民主党は投票のハードルを下げ、米政治制度をより民主的で有権者の声を反映したものにすることを目的に選挙改革法案を提案。しかし、米上院で6月終盤に行われた選挙改革法案の審議進行を巡る採決では共和党から賛成が得られず、同法案の前進は阻まれた。

また、共和党が議会を支配する州では、トランプ前大統領が2020年米大統領選で広範な不正投票によって「選挙が盗まれた」と主張したことを引き金に、新たな投票制限法の導入に向けた機運が高まっている。ニューヨーク大学ブレナン司法センターによると、今年に入り少なくとも17州が投票を制限する法律を制定。なお複数の州が制定を検討しているという。

バイデン大統領は演説で、こうした動きを米国で黒人や女性の投票権を制限した過去の法律になぞらえ、投票権の弱体化に向けた取り組みと批判。「彼らは投票を困難にしようとしている。有権者が投票することを望んでいない」と述べた。

さらに「今、米国では公正で自由な選挙で投票する権利を抑圧し、妨害しようとする攻撃が展開されている」とし、トランプ氏を名指ししなかったものの、根拠のない不正投票を巡る主張について「大きなうそは、大きなうそでしかない」と言明した。