静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で発生した土石流災害で、難波喬司副知事は13日に記者会見し、土石流の起点周辺にあった盛り土について「違法な盛り土が災害の原因」との見解を示した。盛り土が降雨でダムのような状態になって水がたまり、下部から水が噴き出して一部が崩壊、その後に盛り土の全体が崩れた連鎖崩壊の可能性があるとしている。県は、土石流発生のメカニズム▽盛り土に関する行政の対応が妥当だったか――の2点を検証するため、二つのチームを設置して調べる。
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盛り土があった場所は、2006年に神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)が取得し、11年に別の所有者に移った。難波氏はこの盛り土について、周囲から水が集まりやすい谷の最上部に設けられた▽法令に反して届け出と異なる工事が行われた▽届け出の高さの15メートルを超え、工法が不適切だった――と説明。盛り土の高さは最大50メートル以上で、適切な排水設備はなかった可能性が高いとの推測を示した。
県によると、土石流が起きる前の7月1日午前4時から3日午前10時までの累積雨量は約450ミリ。盛り土の造成工事は10年におおむね終わっており、雨量は11年以降で最大だったという。難波氏は「不適切な工法の盛り土に長雨の蓄積が重なって大惨事になった」と強調した。
◇新たに1遺体発見
一方、熱海市は13日、現場周辺で新たに1人の遺体を見つけたと発表した。これにより死者は11人、行方不明者は17人となった。
土石流によって131棟(128世帯、216人)が被害を受け、13日時点で521人が避難所に身を寄せている。川勝平太知事は13日の記者会見で、被災者向けの「みなし仮設住宅」として民間賃貸住宅など計113戸を確保したと発表した。このほか、伊豆山地区の県営住宅で20戸程度の確保を目指すという。15日に熱海市役所に住宅相談窓口を設置、相談に応じる。
熱海市の斉藤栄市長は13日の記者会見で、16日まで避難所として確保しているホテルについて「さらに延長してもらえるように交渉している」と述べた。みなし仮設住宅の準備が整うまで期間延長する方向で調整しているという。【山田英之、上鵜瀬浄】
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