【ワシントン時事】米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長をはじめとする軍幹部らが昨年11月の大統領選後、トランプ大統領(当時)によるクーデターに巻き込まれることを警戒し、辞任の準備をしていたことが、トランプ政権末期の内幕を暴露した本で明らかになった。米CNNテレビが、近く出版される内幕本「I Alone Can Fix It(私だけがそれを直せる)」の抜粋を報じた。

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 著者は、ワシントン・ポスト紙記者のキャロル・レオニグ、フィリップ・ラッカー両氏。トランプ氏への2時間を超えるインタビューに加え、140人以上に取材して大統領選の敗北で混乱を極めた政権内部の様子を描いた。
 それによると、ミリー氏はトランプ氏を「失うもののない伝統的独裁者」と評し、その姿をナチス・ドイツの独裁者ヒトラーと重ねていた。友人や議員らに対しては、トランプ氏が権力にしがみつくためにクーデターを起こす可能性があるとして、警戒を怠らないよう訴えたという。

 部下には「(トランプ氏が)クーデターを試みるかもしれないが、成功するわけがない。軍や中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)の協力なくしてクーデターはできない。われわれが銃を握っているのだ」と強調。一方で、陸海空など各軍のトップとは、トランプ氏がクーデターなどの違法行為を命じた場合、1人ずつ辞任する計画を話し合っていた。

 トランプ氏は15日に声明を出し、「クーデターを起こすと脅したことや、誰かに話したことは一度もない。ばかげている」と主張。任期終盤にはミリー氏に対する敬意をとうに失っていたとして「クーデターを起こすつもりだったとしても、ミリー氏とだけはやりたくなかった」と述べた。