[ワシントン 20日 ロイター] – 米商務省が20日発表した6月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比6.3%増の164万3000戸となり、市場予想の159万戸を上回った。一方、許可件数は8カ月ぶりの水準に減少。木材価格の高騰に加え、労働力や用地の不足により、建設業者は好調な住宅需要を最大限に生かすことができない状況が続いている。

着工件数は前年同月比で29.1%増加。5月は当初発表の157万2000戸から154万6000戸へ下方改定された。地域別では西部や人口密度の高い南部で増加する一方、北東部や中西部では減少した。

6月は着工件数が増えたものの、2006年6月以来の高水準を付けた3月の172万5000戸を下回っている。

許可件数は前月比5.1%減の159万8000戸と、昨年10月以来の低水準。許可件数の減少に伴い、住宅建設は今後数カ月間、鈍化する見込みだ。

木材先物価格は、過去最高値を付けた5月上旬から70%近く値を下げたものの、最新の卸売物価指数(PPI)統計によると、針葉樹製材は6月に前年同月比で125.3%急騰した。

ファストマーケッツのシニアエコノミスト、ダスティン・ジャルバート氏は、「多くのエンドユーザーは木材価格が通常の水準に近づいていることに安心しているが、西部では山火事が猛威を振るい、ブリティッシュ・コロンビア州内陸部では丸太価格が高騰している。また年内にカナダの生産者への関税が引き上げられる可能性があることから、買い手は引き続き相場の変動が激しい状況を見込むべきだ」と述べた。

また、ジロウのエコノミスト、マシュー・スピークマン氏は「全米各地で窓ガラスや暖房器具、冷蔵庫などの納入が数カ月遅れる中、住宅の納入が滞り、建設業者は活動を制限せざるを得なくなっている。また、多くの建設業者は別の問題として、有能な労働者の不足を訴えている」と述べた。

住宅需要のけん引役となっているのは、低金利と、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、在宅オフィスや在宅学習のために広い家を求め都心部から郊外人口が少ない地域に人が移っている。しかし、ワクチン接種によって企業は従業員を市内のオフィスに呼び戻すことができるようになり、住宅需要の追い風は徐々に弱まっている

ウェルズ・ファーゴ のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は 「下半期は住宅販売と新築住宅建設が控えめに回復するとみている」 と指摘。「需要は問題ない。在庫が非常に少ないことで住宅価格が急騰する中、手頃さがないことが問題であり、当面逆風となるだろう」と話した。

最も大きなシェアを占める一戸建て住宅の着工件数は6.3%増の116万戸。一戸建て住宅の許可件数は6.3%減の106万3000戸。変動の大きい集合住宅の着工件数は6.2%増の48万3000戸。許可件数は2.6%減の53万5000戸だった。

住宅完成件数は1.4%減の132万4000戸。一戸建て住宅の完成件数は6.1%減の90万2000戸と、昨年10月以来の水準に落ち込んだ。

不動産業者は、在庫不足を補うためには一戸建て住宅の着工件数と完成件数が毎月150万─160万戸に達する必要があると試算している。

建設中の住宅は135万9000戸と、1.8%増加した。