連日アスリートによる熱戦が繰り広げられる東京五輪。開幕前とは一転して盛り上がりを見せているが、五輪やスポーツに関心のない層からは冷めた声も聞かれる。ツイッター上には「#オリンピックハラスメント」や「#オリハラ」というハッシュタグ(検索用の目印)も登場した。
「五輪の話にうんざり」「職場で非国民扱いされる」。ツイッターには23日の開会式前後からこうした投稿が目に付くようになった。積極的な開催反対派というよりは、単に興味がない人が多いとみられる。
文筆家の古谷経衡さんも「盛り上がって当然」という風潮に危うさを感じている1人だ。もともとスポーツがあまり好きではなく、なぜスポーツだけが特別視されるのか疑問に思っていたという。
「W杯でもハロウィーンでも、距離を置きたいと思っている人は一定程度いる。特に今回の五輪は反対派が多かったのだから、決して少数派ではないはず」と強調。「感動の押し付けには違和感があると言い続けたい」と話す。
同調圧力に詳しい同志社大の太田肇教授(組織論)は「賛成、反対と極端に動くのが日本の特徴。一色に染まって異論が唱えにくくなる。コロナ禍で鬱屈(うっくつ)していたことも背景にあるのだろう」と分析。公共空間と仲間集団が混同され、職場などでも「なぜ五輪を見ていないんだ」といった同調圧力につながりやすいため、両者の区別が重要だと指摘した。